パラノイア

騙りあう夜もあった
独りは寂しいと泣きながら
交わすくちづけで
体温を与えることよりも
奪うことばかりを考えた

パラノイアは
音を立てて崩れてゆく

いくら抱きしめても
輪郭は滲まなかった
水彩絵の具に憧れながら
乾いたインクが
ぱらぱらと剥がれる

好きだと言うことよりも
言わせることばかりを考えた

散らばるパラノイアを
踏みつけて
夜が明けたら さよなら

22.11.22

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