こころみ短歌 一から十六

ただ単に気づいてほしい僕だから鳴かぬ虫より蝉になりたい

まだ止まることはできないもう少しだけ歩みたい君に逢いたい

もう吠えることに疲れて負け犬になる口なんてあなたにあげる

ひとりごと連ねてふたり縺れあう糸みたいだねほどいてひとり

自らの心ひとつもわからずにただ息だけを繰りかえします

六分の一の重さの涙なら月でまぶたは腫れないのかな

さよならで串ざしにしていつまでも心のすべて患わせてよ

まだ少したりない力に甘んじて劣等感にいかされている

きみを呼ぶ口さよならを叫ぶ口ない犬みたい哭くだけひとり

しあわせは君のすべてで手を打とう世界が僕を見放す前に
しあわせは君のすべてで手を打とう僕が世界を見限る前に

ねえ生きてわたしのために生きてみてあなたにそんなことはできない
ねえ死ぬよあなたのために死んでみるわたしにそんなことはできない

あまりにも虚ろな僕の口なんてキスで塞いでほしい……、嘘だよ。

こんなにも苦しいことを君たちは知らないでいる僕が死ぬまで
そんなにも苦しいことを僕たちは知らないでいた君が死ぬまで

目障りな手首耳障りな呼吸あたり障りのない夜を待つ

生きたいと願う日々ならこの命君にあげるよ生きてみせてね
死にたいと嘆く日々ならその命僕にください死んでみせます

欠けているただ其のせいでからっぽな空が僕らを欺いている

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