文字のみの詩 珈琲
薄っぺらい好奇心の餌食になって
だんだん擦り減ってきっといつかいなくなる
文字のみの詩
文字のみの詩 
文字のみの詩 二十三時
今日も終わりました あと一時間で終わりました
文字のみの詩 もう 死体
でも手に入ったと思ったら もう 死体
文字のみの詩 死ニタガルシカ
死んじゃったら死にたがれないから って言ってあの子は明日も息をする
文字のみの詩 ただれた血
使い捨てのわたしでいいから 使い捨てのわたしがいいから
文字のみの詩 命日
忘れてはいけないと 声に出して確かめるのは それ以外の日は 忘れて過ごしているから
文字のみの詩 原爆忌
あの日できなかったさよならは 僕の手の中にあります
文字のみの詩 センジョウノホウコウ
こんな小さな作り物の世界でさえ迷子になって 時間を浪費しているのに惜しくもないんだ
文字のみの詩 もういません
憎ませてくれてありがとう わたしの死ぬ日は教えない
文字のみの詩 あなたは
あなたは言葉ひとつなく どこへともなく歩き出す
文字のみの詩 すれ違う人たち
すれ違う人たちの 誰もが何かを感じている そのことがたまに怖くなる
文字のみの詩 海が始まる
終わってしまうことを
あの子は絶望と呼んだ
文字のみの詩 安上がりガール
お金はいらない お金はいらない その代わりに愛を頂戴
文字のみの詩 その声でこの首を
君の声をこの指でひっぱりたい
文字のみの詩 誕生日
今年も一人で ショートケーキを食べる
文字のみの詩 「 」
かぎかっこの中で 僕は待っている あなたが台詞をくれるのを 僕は待っている
文字のみの詩 愛してない
わたしは誰も愛してない
文字のみの詩 穢汚
青い水彩絵の具が溶けた 水の透明度は もう取り戻せない